ニッポンの思想 増補新版 (ちくま文庫 さ-54-1) 作者:佐々木 敦 筑摩書房 Amazon オススメ度 ★★★☆☆ 80年代に流行したニューアカから始まったとされる、ニッポンの"思想"の一連の流れをざっくりと解説している書籍。タイトルとは裏腹に、本書で実際に扱われて…
この記事は、哲学の専門的な教育を受けていない、あるいは今まで哲学にほとんど触れた事のない(私のような)者が、ウィトゲンシュタイン『論理哲学論考』を読み進めていくためのロードマップを記したものです。*1*2 『論理哲学論考』は『存在と時間』ととも…
「新自由主義」を批判する文脈において, 典型的に見られる問題点をリストアップした記事が公開されている: kozakashiku.hatenablog.com 論点が包括的に整理されており, かつ内容が丁寧なので, この話題についてのベンチマークとなり得る労作である. 一方で, …
この記事では、ブログ主が作成した帰納的ゲーム理論(Inductive Game Theory)*1についてのノートを公開しています。 帰納的ゲーム理論とは、情報不完備ゲームの定式化の一つで、「各プレイヤーはゲームの構造について事前には無知であり、ゲームを繰り返し…
ファシズムの教室: なぜ集団は暴走するのか 作者:田野 大輔 大月書店 Amazon オススメ度 ★★★★☆ (※書籍の内容の性質上、読者自身が注意を払わないと、「書籍それ自体に対する評価」と「紹介される授業の内容に対する評価」を混同してしまう。以下のレビュー…
経済学と合理性: 経済学の真の標準化に向けて (シリーズソーシャル・サイエンス) 作者:清水 和巳 岩波書店 Amazon オススメ度 ★★★★★「経済学における合理性・非合理性」という、誤解と曲解が蔓延している厄介なテーマについて、懇切丁寧に解説している良書で…
2023.08.16 追記: (本ブログとは全く関係なく) この記事の提案内容がほぼそのまま実現した教科書が発売されました! 活かすゲーム理論 (y-knot Musubu) 作者:浅古泰史,図斎大,森谷文利 有斐閣 Amazon -------------- 経験上、修士課程の専攻はゲーム理論でし…
valeria-aikat.hatenablog.com 書評にpart2もクソもあるかとは思うのだが、上の記事を書いた後、少し気になる事があったので補足する。このブログで書評を載せた2日後に著者のTwitterで以下のようなツイートがあった。 具体例をたくさん挙げられるよりも、…
現代思想入門 (講談社現代新書) 作者:千葉雅也 講談社 Amazon オススメ度 ★★★★☆ 書店やTwitterでやたら顔写真と名前を見かける著者の新著。フランスのポスト構造主義(≒ポストモダン)思想を著者自身の解釈を交えつつ分かりやすくまとめている。 入門のため…
// ホモ・エコノミクス ──「利己的人間」の思想史 (ちくま新書) 作者:重田園江 筑摩書房 Amazon オススメ度 ★★★☆☆ 政治思想史とフーコーがご専門の著者による「ホモ・エコノミクス」という人間観の歴史を辿った著作。「まったくもって自明の存在とは言えない…
非常に興味深い論文を見つけたので, ここでシェアします. www.aeaweb.org 以下はアブストラクト(ハイライトは私による). We introduce a set-valued solution concept, M equilibrium, to capture empirical regularities from over half a century of gam…
計量経済学の講義ノートなどをまとめています。順次更新予定。情報をコメントで頂けると大変助かります。 計量経済学(修士レベル) ベイジアン計量経済学 時系列解析 ノンパラメトリック 部分識別 因果推論 構造推定 計量経済学(修士レベル) 早稲田大学 …
早稲田大学 国際学術院 教授の石川竜一郎先生(Twitter: @mxb02762)が、noteの記事で「ベイジアン自白剤」を紹介されている。 note.com ベイジアン自白剤とは、アンケート調査の質問設定の方法だ。ある一定のスコアリングルールをもとに回答者を評価して報酬…
// ゲーム理論の現実への応用について、一つ思い付きがあったので、備忘録的にまとめておきたいと思います。単なる思い付きなので、似たような研究やサーベイがあればご教授頂けると助かります。 さて、その思い付きとはズバリ、「○○は均衡である」という結…
数年ほど本棚で眠っていた戸田山和久先生の『科学哲学の冒険』を読んでいて、ふと「仮説検定の手法ってPopperの反証主義から影響受けてない?」と思い至った。 調べた結果、以下の興味深いブログ記事を見つけた。 himaginary.hatenablog.com 記事は「帰無仮…
伊藤の補題の雑な証明と, オプション価格式の導出のノートです. グリークスについてもいくつか導出を載せています. コール・オプションの価格式の導出は教科書などに良く書かれていると思うので, あえてプット・オプションの価格式の導出を書いています. グ…
ギバード=サタースウェイト定理(Gibbard–Satterthwaite theorem)の厳密な証明です. なお, 途中で言及されるFigureは, 参考文献の該当箇所pp.292-296にあるものを指していますので, お手数ですが参考文献を手元に置きながら読んで頂ければと思います. 言語…
アローの不可能性定理(アローの定理)の厳密な証明です. 言語は英語です. 参考文献 Jehle, G. A., & Reny, P. J. (2011). Advanced Microeconomic Theory (3rd ed.). Financial Times/Prentice Hall.
fivebooks.com 上のインタビュー記事で、金融危機に関する古典的な論文・書籍が紹介されています。 紹介しているのは、2007年にノーベル経済学賞を受賞したEric Maskinです。記事では、以下の5つの文献が紹介されています。 1. Bank Runs, Deposit Insurance…
この記事では、「経済学による予測の難しさ」について語っていきます。 先日友人からこのテーマについて質問されたのをきっかけに、改めて自分の考えを整理しておこうと思い、書いてみました。 経済学を一通り勉強した人間はこんな事を考えていますよ~くら…
こんにちは. この記事は, 文系(特に経済学)の修士課程への進学を考えている方向けの記事です. 情報収集の一助になれば幸いです. 僕自身は, 進学を決める際には悩みに悩みました. 特に文系だと, 周りに進学を検討する人も少なく, ネットでの情報も限られて…
この記事は'Health economics'という言葉とその訳語についてのノートである. Health economicsの日本語訳は主に2つある. 伝統的には「医療経済学」という訳語が与えられてきたが, 近年は「健康経済学」という訳語を与える事が増えてきている. 以下では, どち…
(2021.9.22 加筆) こんにちは。 この記事では、転売問題を経済学の視点から見ていこうと思います。 2019年に特定興行入場券の不正転売の禁止等による興行入場券の適正な流通の確保に関する法律、通称チケット不正転売禁止法が施行されてから、この話題はあ…
2020年のいわゆるノーベル経済学賞は2人のゲーム理論家、Paul Milgrom氏とRobert Wilson氏に与えられました! www.nobelprize.org 受賞理由は「オークション理論の発展と新しいオークション形式の発明」との事です。 オークション理論は、ゲーム理論の重要な…
前々から気になっていた Romer (2015) "Mathiness in the Theory of Economic Growth" の要旨を箇条書きでまとめる. 適宜※で私による個人的なコメントを入れている. 私は経済成長理論の修士1年のコースワーク程度の知識しか持ってないため, より詳しい方から…
この記事では、巷にあふれかえっている行動経済学に関連する書籍から、入門の一つ先に進みたい・実際にどのように応用していくのかを知りたいといった方々向けに、より詳細に理論を説明している本や、実際の活用例を紹介している本を厳選して紹介します。 理…
こんにちは。 古典作品を読む趣味があるので、布教のために紹介記事を書いていこうかなと思います。 突然ですが、アントン・チェーホフってご存知ですか? ロシアの作家で、本業は医者だったのですが、その片手間に書いていた戯曲(演劇の台本)と短編小説に…
// この記事では、有名なJohn Nashのゲーム理論における業績について解説していきます. 一つは均衡の存在定理, もう一つはNash交渉解です. この記事では特に, 2つ目のNash交渉解を中心に解説します. 数学者としてのNashの業績については筆者が分からないので…
この記事では、周りから割と聞かれる数学の勉強法について書いていこうと思います。 私自身、大学受験時代は数学が大の苦手で、具体的には模試での偏差値が50を切っていたり、本番のセンター数学で30点代だったりしました。大学に入ってから数学に目覚め、大…
この記事では、某所からテーマとして頂いた「教養系学部で専門性を(ある程度)磨く方法」について、私自身の経験を交えながら書いてみようと思います。 私はもともと文系として大学を受験し、教養系学部に入学・卒業した後に経済学の大学院に進学しました。…