この記事では、周りから割と聞かれる数学の勉強法について書いていこうと思います。
私自身、大学受験時代は数学が大の苦手で、具体的には模試での偏差値が50を切っていたり、本番のセンター数学で30点代だったりしました。大学に入ってから数学に目覚め、大学の授業や独学で必死に勉強した結果、数学科の学部課程で使われるような教科書であればある程度読みこなせるようになりました(今でも細かい計算は苦手ですが)。
多くの方に数学の楽しさを味わってほしいので、筆者のような数学オンチでも、短期間で網羅的に、高校から大学学部初年度レベルまでの数学を効率よく勉強する方法をまとめていきます。
一応想定する読者は、高校数学が苦手だったのに経済学部に進学してしまった哀れな新入生、小手先で学部の授業を切り抜けてしまったため基礎が身に付いていない学部上級生などです。勿論、数学に苦手意識があるが何とか学んでみたいという意欲のある人達も対象です。
高校数学
高校数学を概観するには以下がオススメです。
時間に余裕があるなら教科書を丹念に読むのがベスト(!)ですが、短時間で高校数学の基礎を復習したいのであれば、このシリーズが最適だと思います。
え、ただの計算テクニック本?と思った方、ご安心ください。
この本は小手先のテクニックを教えるものではなく、計算を通して数学の本質的な理解を促すというコンセプトで書かれています。例えば、数Ⅲの微分の章は計算ではなくわざわざ微分係数の定義から始まっています(もちろん極限を定義していないので厳密ではありませんが)。
問題の質がよく、網羅性も高いため、毎日コツコツ手を動かす事で確実に力が付きます。自分の苦手な分野に絞って勉強するという使い方も良いと思います。特に文系の学生は数学Ⅲを履修していない学生が大半だと思いますので、この本で徹底的に計算力と基礎知識を身に付ければ、大学での学びがだいぶ楽になるはずです。
解析学・線形代数
高校数学の基礎を学んだら、次は解析学と線形代数を学びましょう。どちらも大学での数学の基礎になる重要な分野です。これらを概観するには以下がオススメです。
やはり一部の箇所(極限をε-δで定義していない等)で厳密性に欠けますが、約200ページの中に、解析学と線形代数(+αで確率・統計)の基礎事項が無駄なく詰め込まれています。例や練習問題が豊富なので、自分で手を動かす事で無理なく内容を理解していくことが出来ると思います。また、ほぼ全ての定理や公式に証明が付いているため、推論の過程を追うという大切な素養も身に着きます。
入門という名前が付いていますが、実はそれなりにレベルが高いです。特に線形代数は抽象度が高く、初見だと困惑するかもしれません。しかし、高校数学をよく理解していれば、あれこれ考えながら読んでいく事で十分読み通せると思います。詰まっても諦めず何度も繰り返して、丁寧に読み進めましょう。
ちなみに、この本の内容を漏れなく理解しておけば、文系ならば学部卒業までほとんど困らないと思います。
確率論・統計学
さらに余力がある方は、現代人の素養としてぜひ確率論・統計学を学びましょう。前述の解析学と線形代数の知識を使います。
ここまでは①短期間で読めて、②網羅性が高く、③厳密性をそこまで損なわない、特効薬のような本を紹介してきましたが、残念ながら確率論・統計学の分野にはそうした書籍が無い気がします。ここでは上で紹介した書籍を読み終えた方ならちゃんと読みこなせそうな良書をいくつか紹介します。
『入門確率過程』は確率過程や金融工学への応用を念頭に置いていますが、確率論の初歩としても読みやすい本です。最初の一冊に良いと思います。
『確率論 講義ノート』はその名の通り確率論の教科書です。『入門確率過程』よりもレベルは高いですが、網羅性が高く、かつそれなりに厳密性を保っていて、それでいて読みやすく書かれているので、大変おすすめです。
おわりに
今回は、数学が苦手な方でも短期間で不安を解消ための書籍を紹介しました。
一応断っておくと、ここで紹介したものはあくまで短期間でなるべく網羅的に学ぶことに特化した書籍です。時間をかけてじっくり学びたい方は、それぞれの分野ちゃんとした教科書に当たることを強くオススメします(もちろん、ここで紹介した書籍を読んだのちに、改めてちゃんとした教科書に当たるというやり方もあります)。
ここまで読んで頂きありがとうございました!