エコノミック・ノート

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【修士課程】文系で大学院進学を考えている人へ【経済学】

こんにちは. この記事は, 文系(特に経済学)の修士課程への進学を考えている方向けの記事です. 情報収集の一助になれば幸いです.

 

僕自身は, 進学を決める際には悩みに悩みました. 特に文系だと, 周りに進学を検討する人も少なく, ネットでの情報も限られており, そういった中で進学を決めざるを得ませんでした. そうした現状を少しでも改善できればと思います.

 

この記事では, 自分の大学院での経験をもとに, 文系(特に経済学)の修士課程進学と大学院生の就職活動について知っておいた方が良いと思われる事を書いておきます.

 

なお, 簡潔さのために断定的な口調で書きますが, あくまで一個人の経験に過ぎない事をご留意頂ければと思います.

 

 

自己紹介

 

2021年3月に, とある大学院で修士(経済学)を取得し, 4月から社会人になりますなりました. 大学院に進学する前は, 同じ大学の教養系の学部に所属していて, そこで経済理論のゼミに参加していました. 修士の専攻も経済理論で, 特にゲーム理論を専攻していました. 

 

主に能力的な理由と経済的な理由で, 博士課程への進学は元々考えていませんでした. なので, 修士修了後は就職をする事を前提に進学しました.

 

進学した理由

 

経済学が面白くて, もっとしっかりやりたいなと思ったからです. 学部では経済学を熱心に勉強していましたが, 上に書いた通り教養系の学部出身だったため, 体系的に経済学を学ぶ機会はありませんでした. その状態で社会に出るのは, もったいないなと思っていました.

 

もう一つの理由は, やりたい仕事に近づくと考えていたからです. 僕は学部生の頃から, 漠然と数理を用いた仕事がしたいなと思っていました. そんな中, 当時ある企業のインターンに参加したのですが, そこで自分の数理的能力の不足を感じました. 経済学の修士課程ならば, 数理的能力の強化も十分出来るだろうと考えていました.

 

 

授業やゼミ

 

授業は座学がメインです. また, 実験をするような分野を専攻しない限り, ゼミも座学や進捗発表がメインだと思います. 

 

普通の経済学の修士課程1年目には, コースワークといってミクロ・マクロ・計量の3つを集中的に勉強します. 必修科目である場合も多いです. かなりハードなので, 1年目大学院生活はこれがメインとなるはずです.

 

進学を考えているのであれば, 学部4年の時点で修士課程の内容を良く勉強しておく事を強くオススメします. 授業の理解もスムーズになりますし, 自分の適性もある程度わかるでしょう. 大学によっては, 学部から大学院の授業を履修できる場合があります. もぐって聴講する事もやろうと思えば出来るでしょう.

 

(なお, 仮に内容が難しいと感じても, そこまで悲観する必要はないと思います. 僕は学部の時に履修した大学院のマクロ経済学の単位を落としましたが, 大学院で改めて履修して無事良い成績を取る事が出来ました. 要注意なのはむしろ, 授業がつまらないと感じた場合だと思います.)

 

得られるもの

 

・優秀な友達

能力があり, 学問が好きな同年代の友達はとても貴重です. 彼らとの会話はとても楽しいもので, 大学院に行って良かったと思う理由の一つです.

 

・教員との関係

学生の数が少ないので, 授業やセミナーなどで近い関係になれる可能性が学部よりも高いです. 無論, 自分の能力を示す必要はあります. 

 

・学習する環境

図書館の本や論文に気軽にアクセスできます. それらをじっくり読む時間も得られます. 院生用の自習室も使える場合があります.

 

・忍耐

ハードな授業についていくためには, 分かるまで考え続ける忍耐が必要です. また, 目の前の事から逃げずに立ち向かう力も必要です.

 

・学問に付随する能力

経済学では, しっかり勉強すれば数理的素養や英語力が自然と身につくでしょう. 実証を専攻する場合は, プログラミングの技術やデータ分析の知識も身につく事が期待出来ます. また研究を通して, 発表をする力や質疑応答に対応する力, しっかりした文章を書く力なども身につく事が期待出来ます.

 

失うもの

 

・2年分の学費, 生涯年収, 若さ

学費は出資者(親など)と良く相談しましょう. 奨学金を得るという選択肢もあります. 他2つについては, 僕個人はあまり気にしていませんでしたが, 社会に出る時点で確実に24歳以上になっている事は気に留めておきましょう. 結婚を考えているならば, 必然的にそれが遅くなる事も考慮しましょう.

 

・就職での選択肢(?)

企業側から見て, ある学部生と, それと同じ能力や適性を持った院生を比べたら, 前者の方を採用したいと思うでしょう. 学部卒が多くを占める職種では, 就職が難しくなる可能性があります.

 

・柔軟性(?)

人にもよりますが, 頭が固くなりがちです. 不必要なプライドも身についてしまうかもしれません.

 

就職活動

 

データサイエンティストや金融専門職を中心に選考を受けました. 結果的に20社くらい受けてどちらも1つずつ内定をもらいました.

 

全体として, 「文系の大学院生だから」という理由で評価を下げられる事はほとんどなかったと思います(また, それによって評価が上がる事もなかったです). 一方で, 進学した理由は, 相手が納得できるように説明する必要はあります. それ以外は, 学部生と同じように扱われていたと思います. 

 

同様に, 専攻内容が合っていないという理由だけで評価を下げられる事はほとんどなかったと思います. もちろん有利に働く事もなかったと思います. ただし, 専攻内容が合っていない事を指摘された際には, 相手が納得できるように説明する必要はあります.

 

就職活動特有の作法をある程度身につける事は必要でした(あまり真面目に身に付けようとはしませんでしたが). 一方で, 学部や大学院での経験が役に立つ事もありました. 例えば, 文章を書く事に慣れているので, 整ったエントリーシートを書く事が出来たり, 質疑応答に慣れているので, 面接での対応が上手く出来たりといった具合です.

 

結論として, 社会で求められる優秀さと大学院における優秀さは, 完全には一致しませんが, ある程度近いんじゃないかと感じました. というより, それがより近いと考えられるような職種を予め狙えば良いんじゃないかと思います. 上の2つの職種はそうした職種だったと思います.

 

おわりに

 

進学を決める際の僕の最大の懸念は「就職出来るのか」と「修論が書けるのか」でした.

 

就職については, 大学院に進学したら就職出来ないなんて事はありませんでした. ただし, 戦略的に動く必要はあると思います. 就職を考えているのであれば, どこを狙うのかを事前に決めておき, それにある程度即して大学院生活を送る方が良いでしょう(それだけを考えて行動する必要は全くありませんが).

 

修論については, 自分に合った専攻と指導教員を選ぶ事が重要でしょう.

 

専攻については, 自分の興味と社会での需要が合っている場合は問題ないですが, そうでない場合は考える必要があります. 僕自身は, 主に興味に基づいて選びました. それでも就職は出来たので, 結果的には良かったです.

 

指導教員については, 業績のある先生でも, 自分のスタイルと合わない可能性もあります. ここを間違えると, 修論を書く際に大きな支障となるので, 研究内容や業績だけではなく, 自分との相性もまた注意すべきです.

 

その他, ご質問などがある方は, 是非お気軽にコメントお願いします.

 

それでは, ここまで読んで頂きありがとうございました.