こんにちは。
前回に引き続き、『会計・経済・投資理論(KKT)』に合格した方(もしくは試験勉強に飽きた受験生)向けに、その一歩先を行くための書籍を紹介していきます!
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それでは行ってみましょう!
『投資理論』の中身
アクチュアリー試験の投資理論の試験範囲は、ポートフォリオ理論を除けば、1巻が「資産価格理論」、2巻が「コーポレートファイナンス」と呼ばれる分野に当たります。
資産価格理論とはその名の通り、金融資産の価格はどのように決まるのかを投資家の選好や市場均衡理論などから分析していく分野です。一方コーポレートファイナンスとは、主に企業価値評価の手法や企業の資金調達について分析するより実務に寄った分野です。
試験範囲では以下の指定教科書をもとにして、CAPM、リスク中立確率、デリバティブ価格の理論を主に扱っています。
これらはどれも非常に有名なもので、試験範囲に入るのも納得です。
ところが、教科書でも試験でも計算例に習熟する事を重要視していて、あまり理論そのものの細かい理解を促すようなものにはなっていません。
そこで、計算ばかりで面白くない!と思っていた方のために、この記事ではより理論的説明に重点を置いたテキストを紹介していきます!
資産価格理論の教科書
試験を突破したレベルであれば、指定教科書の参考文献にも挙げられている以下の本が次の1冊としてオススメです(上が邦訳、下が原著です。)
Intermediate Financial Theory, Third Edition (Academic Press Advanced Finance)
- 作者:Danthine, Jean-Pierre,Donaldson, John B.
- 発売日: 2014/10/09
- メディア: ハードカバー
こちらは資産価格理論の中級者向けのテキストで、前半ではリスク選好やポートフォリオ理論、CAPMなど試験範囲と被る事項を、後半ではアロー=ドブリュー証券価格、C-CAPM、不完備市場などの上級トピックを解説しています。理解を深めるための計算例も多く、読みやすいと思います。
邦訳版は2nd editionからの訳ですが、原著は現在3rd editionまで出版されています。
この次に、もしより発展的なデリバティブの価格付け理論に興味があれば、以下の本があります。
測度論的確率論の理解を想定せず必要な部分を直感的に解説して、マルチンゲールを用いたデリバティブ価格理論に繋げています。実務家向けということもあり、非常に親切に書かれているのが特徴です。
上の2冊を読めば実務家としては十分かと思いますが、さらに高みを目指したい方は以下の本がオススメです(上が邦訳、下が原著です。)
Dynamic Asset Pricing Theory: Third Edition (Princeton Series in Finance) (English Edition)
- 作者:Duffie, Darrell
- 発売日: 2010/01/27
- メディア: Kindle版
こちらは資産価格理論の世界最高峰の教科書で、この本を読む事=資産価格理論のゴールとか言われています。読みこなすには測度論的確率論、凸解析、最適化、確率積分などの基礎知識の理解が求められますが、必要な事は巻末で解説されています。
こちらも邦訳は2nd editionからの訳で、原著は現在3rd editionまで出版されています。
コーポレートファイナンスの教科書
試験を突破したレベルであれば、以下の教科書がオススメです。試験範囲との内容被りがやや多いですが、最近刊行された事もあり、より実践的な内容になっています。
MBA向けとして有名な教科書がこちら。上下巻ともにとても分厚いですが、実務家向けの世界標準のテキストだと思います。
最後に、コーポレートファイナンスの大学院レベルの教科書として以下があります。著者Tiroleはノーベル経済学賞の受賞者です。ゲーム理論をベースとしたコーポレートファイナンス理論の包括的な教科書となっています。
金融論全般の教科書
資産価格理論やコーポレートファイナンスは、区分けとしては「金融論」とか「金融経済学」と呼ばれる分野の一部として位置づけられています。
試験範囲と直接の関わりはありませんが、金融に関する包括的な知識を身に付けたい方のために、中級者向けの本をいくつか紹介します!
学部レベルの包括的な教科書としては、以下の2冊が読みやすいと思います。
どちらも資産価格理論、企業金融、銀行行動、金融政策といった金融論の代表的なトピックをやさしく解説しています。
上は著者の語り口がうまく、それぞれのトピックを簡潔にわかりやすく解説していて非常に読みやすいです。新版が出たのは最近なので、内容もup-to-dateです。
下は少し分厚めですが、金融市場や金融機関の役割といったことから、情報の非対称性といったミクロ的側面、金融制度や規制といったマクロ的側面に至るまでを懇切丁寧に解説しています。
上の2冊はあくまで社会に出た事のない学生向けなので、既に金融業界を経験をされている方には物足りないかもしれません。よりハイレベルなテキストとして以下を挙げておきます。
金融論の幅広い理論的トピックを一冊にまとめた「決定版」といった感じのテキストです。それぞれ独立している章も多いので、自分の興味に沿って辞書的に読むのという使い方になると思います。
その他、もしこの本オススメ!というものがあれば是非コメントにてお知らせ頂ければありがたいです!
ここまで読んでいただきありがとうございました!
ではでは。